綺と私の関係って何だろう。
分からないけれど、綺と星を見たいと思っている時点で、恋に寄る好意を抱いていることも確かなのだろうか。
綺と星がみたかった。そう言ったら、天体観測デートに行こうと言われた。デート。男女がふたりで街を歩くことは、一般的にデートに値する───…のだと、するならば。
「イエス……、」
綺の温度を、もう少しだけ近くで知ってみたいと思った。
「…ふはっ」
「え、なん、なんで笑うの」
「いやいや、ノーかと思ってたから」
綺がククッと肩を揺らして笑う。照れるかと思ったのに、綺の方が優位にいつようで少しだけ悔しかった。
「おけ、そいじゃ、失礼しますわ」
右手が伸びてきて、私の左手を包み込んだ。男の人の、大きな手。ドキドキと心臓が鳴っている。けれど、私が今まで感じたことのない安心感もあって、どこか心がふわふわした。
「蘭の手、ちっちゃ」
「…そんなこと、無いと思うけど。綺の手だって、思ってたより大きい」
「そりゃ、俺も男なんで」
「……ふーん」
なんて返したらいいかわからずそっけない返事をしてしまう。
綺はそんな私のことをとうに理解しているようで「照れなさんな」と冗談めかした口調で言った。とても、むかついた。