「え?」
「手、つなぐ?イエス オア ノー?」
「…え、なんで?」
「なんでって、デートだから」
「デートじゃないよ。星見に行くだけだよ」
「あー?おれが星好きなこと知ってる上でおれと星見たいって、それ四捨五入したら告白だかんな」
「違うし……」
「で、どっち。つなぐ?」
どっち、とは。そんな選択肢を迫られるとは思っていなかったから、分かりやすく言葉に詰まってしまった。
私が綺と手をつなぐ理由ってあるのだろうか。
綺は私のことが好き(いまだにどこまで本気なのかわからない)だけど、私は綺と同じ気持ちなわけではない。付き合っていないし、涙を拭うことと頭を撫でられること以外に触れられた経験もない。
健全な距離。恋と呼ぶにはまた違う、あまりにも不思議な距離感にいると思う。