「…本当は、もう一生手紙は見ないつもりだった」

「うん」

「……でも、なんでだろ。綺と、真夜中さんのせいかな」

「ああ、コンビニの」

「うん。…なんか、知らず知らずのうちに、学校に行くだけじゃもらえなかった度胸を手に入れてたのかもしんない」



そう言えば、ふはっと笑われた。「不登校のメリット、羨ましすぎるな」と冗談めかして綺が言う。けれど、それは決して冗談ではなくて、綺の本心が混ざっていたような気がした。




「蘭は、ちゃんと前に進もうとしててすげーわ。誰にでもできることじゃないから」



呟かれたそれに、私はパッと顔を上げた。

遠くを見つめる瞳は、何か昔のことを映しだしているのかもしれない。