「母上様が?」

母である東の方が、憐れそうに依楼葉を眺めた。

「そなたが泣きじゃくりながら、咲哉と離れるのは嫌だと言うのです。もしかしたら、この子達は本当に心中した者達の生まれ変わりなのではと思うと、離す事ができなくて……」

そう言って母は、涙ぐんだ。

「ですが……男女の双子は、不吉の予兆なのでは?」

依楼葉は、床を見つめた。

「そうとも、言われていますね。」

母が答えた。

「分かっていて、私をここに置いたのですか?」

依楼葉は、胸が潰れそうだった。


「もしかしたら、私がこの家にいなければ、咲哉は死なずに済んだのではないですか?」

「依楼葉……」

これには、父も母も驚いた。

「私のせいで……咲哉は……」

「そんな事はない!」

父・藤原照明は、初めてと言うくらいに、依楼葉を叱った。


「馬鹿な事を申すでない!咲哉は、そう言う定めだったのだ!」

だが依楼葉は、涙が止まらなかった。