だが、依楼葉の胸の内は、どこか晴れなかった。

今すぐに、帝の元へ駆け寄って行きたい。

でも今の身では、それもできない。

所詮、人は運命に、逆らう事はできないのだ。


その日の夜。

依楼葉は、両親に双子の話をしてみた。

「お二人は、男女の双子が不吉である事を、知っていらしたのですか?」

父・藤原照明と、母・東の方は顔を見合わせた。

「ああ、知っていた。」

「何故に、不吉と知っていながら、我らを共に育てたのですか!」

感謝していると言いながらも、依楼葉は強く言ってしまった。

「最初はな。我らも、引き離そうとしたのじゃ。」

「えっ?」

依楼葉は、父を見つめた。


「そなたが、3つの時じゃ。養子に欲しいと言う公達がいて、これ幸いと思い、そなたを差し出そうとした。」

依楼葉の胸に、何か突き刺さる。

「だがそなたが、咲哉と離れたくないと、泣き叫んで……この子達は本当に、心中した男女の生まれ変わりかもしれんと、母君が申されたのじゃ。」