跳ね除けられて、終わるのが見える。


「依楼葉。」

堪り兼ねて、父が部屋を訪ねた。

「入るぞ。」

御帳台の中に入ると、依楼葉の顔は、涙でぐしゃぐしゃだ。


「何かあったのか?帝とお会いした時に。」

そう聞いても、依楼葉は何も答えない。

「……恋の相手が、何者か分かったのか?」

父にそう言われ、依楼葉の目から、涙が滝のように流れる。

「ま、まさか!」

「えっ!!」

もしかして、父に知られた?


「あの!夏の右大将なのでは!」

依楼葉は、父と顔を見合わせた。

「違うのか?」

「違いまする。」

それを聞いて、父はまた悩み始める。

「他に、目ぼしい殿方など、おったかのう。」

「もう、父上様。我の事は、放っておいてください。」

「しかし……思い返しても、他に殿方と言えば、帝しか……」

そこまで言って、父はハッとした。

「もしや……お相手は、帝!?」