御簾納側には、蔵人と中納言である依楼葉が、控えた。
この時の蔵人は、右近衛大将を兼任していた、頭中将・橘厚弘で、太政大臣・橘文弘の子息であった。
緊張していた依楼葉に、橘厚弘が微笑む。
せっかく微笑みかけてくれたのに、無下にもできず、依楼葉も微笑み返した。
「お初にお目にかかります、中納言、藤原咲哉と申します。」
依楼葉は、先に挨拶をした。
「ええ、噂はかねがね聞いております。春の中納言殿。」
初めて会ったと言うのに、相手はニコニコしている。
「頭中将殿は、」
話しかけると橘厚弘は、手を前にして、依楼葉の話を止めた。
「頭中将と呼ばれるのは、どうも好きではありません。私の事は、右大将とお呼び下さい。」
「は、はい。」
頭中将は、帝に仕える蔵人の中でも、家柄がよく学識のある者がなった。
武官と呼ばれる今で言う、武士の中でも、最高の位が近衛大将で、左右に一人ずついた。
この時の蔵人は、右近衛大将を兼任していた、頭中将・橘厚弘で、太政大臣・橘文弘の子息であった。
緊張していた依楼葉に、橘厚弘が微笑む。
せっかく微笑みかけてくれたのに、無下にもできず、依楼葉も微笑み返した。
「お初にお目にかかります、中納言、藤原咲哉と申します。」
依楼葉は、先に挨拶をした。
「ええ、噂はかねがね聞いております。春の中納言殿。」
初めて会ったと言うのに、相手はニコニコしている。
「頭中将殿は、」
話しかけると橘厚弘は、手を前にして、依楼葉の話を止めた。
「頭中将と呼ばれるのは、どうも好きではありません。私の事は、右大将とお呼び下さい。」
「は、はい。」
頭中将は、帝に仕える蔵人の中でも、家柄がよく学識のある者がなった。
武官と呼ばれる今で言う、武士の中でも、最高の位が近衛大将で、左右に一人ずついた。