「咲哉もそのような事を言うから、この子はかぐや姫とあだ名を付けられるのです！」

「かぐや姫？」

咲哉と依楼葉は、顔を合わせた。

「求婚者は数多いるのに、無理難題を押し付けて、殿方をことごとく断っていると言う意味です！」

「へえ。」

それを聞いても、二人は素知らぬ顔だ。


「へえ、ではありません。その無理難題が本当のかぐや姫のように、女らしい物であればまだしも、武術の強い者では、ならず者しか集まりません！」

それを聞いて、二人はまた大笑いしている。


そう！

依楼葉の出す無理難題と言うのは、自分と勝負して勝った者……とまではいかなくても、佐島と対決させて勝った者なのだ。

勿論、左大臣家の使用人の中でも、ずば抜けて強い佐島であるから、今まで勝った貴族はいない。

それだからこそ、依楼葉には通う殿方が、できぬのだ。


「まあまあ、母上様。」

咲哉は東の方を、なだめる。