突然の事に、桃花は顔を赤くする。

その様子を見ると、女の依楼葉でも、可愛らしいと思ってしまう。

殿方が好きになる女と言うのは、こういう可愛らしい人なのだと、依楼葉は思った。


だが桃花は、別な”モノ”を感じ取ったようだ。

「背の君様……」

「ん?」

「何だか、胸がおありの様。」

依楼葉は、突然両手を上にあげた。

「肩も華奢になられたようですし、胸もあんなに肉付きがよかったと言うのに、今はまるで……」

「いや、その……」

「まるで、女のよう……」


ああ!父上様、ごめんない。

桃花に、我が依楼葉であると、知られてしまったかも!


依楼葉は、覚悟を決めた。

「ふふふっ!」

だが意外にも、桃花は笑って見せた。

「えっ……」

「そんな訳、ありませんね。女が、中納言の役職等、できる訳がありませんものね。」

それを聞いて、依楼葉は心からほっとした。