依楼葉は、真っ直ぐに桃花を見た。

「我はね、桃花。流行り病をしてから、睦事ができなくなってしまったよ。」

桃花は、唖然としている。

「生死を彷徨ってから、そう言う事が、虚しく感じるんだ。」

「そんな……」

桃花はよろめいて、手を床についてしまった。

「もちろん、桃花は私の妻だから、誠意を尽くすし、これからも共に人生を生きたいと思っている。だけどこの状態で、他の女の元へ、通う事など、できると思う?」

桃花は、うんともすんとも言わない。

「できる訳が、ないでしょう?」

ダメ押しとばかりに、依楼葉は否定した。


「いえ……もしかしたら、私に仰って下さったように、誠意を尽くせば……」

尚も他の女の可能性を否定しない桃花に、依楼葉は目を閉じずにいられなかった。


こうなれば、最終手段なのだろうか。

依楼葉は目を瞑りながら、桃花を抱き寄せた。

「せ、背の君様……」