「こんな形で知る事になろうとは、父としては、そなたを不憫に思うが、恋を知った事だし、いづれそういう機会も、訪れるかもしれぬしのう。」

どこかしら、父は楽しそうだ。

「そんな事を、皆、しているのですか?」

「睦事をせねば、子はできぬ。人は今までそうやって、命を紡いできたのではないか。」

なるほどと思いつつ、不思議な気持ちになる。


「だからよのう。相手が姫ではのう。」

依楼葉の頭の中には、昨晩すり寄ってきた、桃花の姿が思い浮かんだ。

桃花はこの事を、求めているのだ。

「ああ、父上様……我は、また別な意味で、思い悩んできました。」

「しっかりせい、春の中納言。」


どうしたものか。

どうすれば桃花に、それとなくそういう関係にはなれない事を、伝えられるのか。

それとも、桃花の事を思えば、黙っている事が酷なのだろうか。


「もう、男の成りをするのは、嫌になったか?」