「とんでもありません。」

咲哉は庭に降りると、依楼葉をじーっと見つめた。

「どうした?咲哉。」

「いや。いつも思うのだが、依楼葉は姫にしておくのは、勿体ない。」

依楼葉は、刀を後ろに回した。

「それは、我も常日頃、思うている事じゃ。」

「はははっ!」


咲哉の登場で、母の気も少しは戻る。

「ああ、咲哉。良いところに来ました。このじゃじゃ馬に、何とか言って頂きたい。」

「何とかと申しますと?」

「もう少し、姫らしくと。」

「それは、無理と言うものですよ、母上様。」

それを聞いた東の方は唖然とし、依楼葉はニヤリとする。


「さすがは、双子。我の事はよく分かっておる。」

「誠に。まるで、女の成りをした弟がいるようだ。」

そうして二人は、面白可笑しく笑っているのだ。


「何が、そんなに可笑しいのですか!」

だがこの状況、母にとっては一大事。