「和歌の姫君……」

桜の君は、立ち上がると依楼葉を自分の元に、引き寄せた。

「私の、また会いたいと言う気持ちを、嬉しく思うあなたは、同じ気持ちを持っていると、思うて良いのだろうか。」

「はい。同じ気持ちを、私も持っております。」

二人は額を付けると、桜の花が降りしきる中、しばらく抱きしめ合っていた。


「あっ、和歌の姫君。ここにいらっしゃった。」

綾子の声で、二人は急に離れた。

「では、私はこれで……」

「和歌の姫君!」

桜の君は、もう一度だけ依楼葉を呼び止めた。

「また、この桜の木の下で、あなたと会いたい。」

依楼葉は、振り返ると微笑んだ。



「ええ。桜の下で、会いましょう。」



そう言うと、依楼葉は綾子の元へ駆け出だした。

綾子は、戻ってきた依楼葉に、ほっとした。

「もう。どこへ行ってしまったかと。」

「ごめんなさい。」

依楼葉が謝ると、綾子はチラッと後ろを見た。