「あっ、いや……その……」

途端に汗をかき始めた右大臣・藤原武徳。

「そう言う噂が、あると言うだけでございまして……」

右大臣も、太政大臣と関白左大臣に挟まれて、困りに困っている。


だがこのような公の席で息子を疑われて、黙っている関白左大臣・藤原照明だった。

「太政大臣殿!それはどういう事なのですか!?」

扇を上に挙げ、激しく抗議した。

「どうもこうも、そういう噂があると言うだけだど、先程右大臣殿が申したではないか。」

「その噂を流されたのは、太政大臣殿ではないのですか!?」

「関白左大臣殿!」

それを聞いた右大臣が、二人の間に入った。

「下がっていてください、右大臣。この関白左大臣・藤原照明。己の事はなんと言われても、笑って許せますが、自分の息子をここまで疑われて黙っている訳には行きません!」

「父上様……」