帝は早速、朝食を摂った後、久々に藤壺を訪れた。

「まあ、これは主上。」

その姿を見た桜子は、喜びの表情を浮かべた。

だが帝は、いつもと同じように、冷静な表情だ。


「早速、お父上様から懐妊の知らせを、お聞きになったのですね。」

すると周りの女房からも、歓喜の声が湧いてきた。

「その事なのだが、藤壺。二人きりで話したい。」

「まあ。」

帝の言葉を聞き、女房達がいそいそと、部屋を出て行く。

そして二人は、御簾納の中に入った。


「その懐妊の話なのだが……」

「ええ。さぞ、主上もお喜びでございましょう。」

「ああ。本当であればな。」

「えっ?」

帝と桜子は、見つめ合った。

「どういう……意味でしょう。」

「私はそなたの元に、2か月ほど通ってはおらぬ。もし懐妊が本当ならば、誰か別の者の……」

「私が、不義を働いたとでも、仰せなのですか!?」