そして、依楼葉の恐れていた事が、起ってしまった。

二人の仲睦まじい姿を見て、気を利かせて隠れていた蔵人が、帝と尚侍の関係を知ってしまったのだ。

ただ、帝と尚侍の位に就く姫君が、恋人となるのは、よくある話で、入内する事が決まった姫が、その前に尚侍になる事も、ある話なのだ。

だが、それは桜子の耳にも、入ってしまったから、事は大きくなってしまった。


ある日。

いつものように、帝が文書を読みながら、裁可を下すかどうか決めていたところだ。

急に、その場へ桜子が現れた。

「どうした?藤壺。」

帝は冷静に、話しかける。

「主上に、申し上げたい事がございます。」

桜子は少し、不機嫌気味だ。


「分かった。尚侍、そなたは下がっ……」

「尚侍も、一緒にいて頂きとうございます。」

桜子は、真っすぐ帝を見つめた。

「……何が言いたい?」

「もう既に、お分かりになっているかと、存じます。」