あの艶やかな帝の事。

藤壺の女御以外に、入内した方々がいた聞いた時には、胸が痛んだが、その身分を聞いて、今度は胸が詰まった。

益々、自分があの方の妻になるなど、身分違い。

夢など見ない方が、自分の為なのだ。


「ただねぇ。」

「えっ?」

藤の君は、周りを見て誰もいない事を確かめると、もっと依楼葉に近づいた。

「お三方とも、宿下がりをされたでしょう?それは、藤壺の女御様の嫌がらせだって、噂があるわ。」

「嫌がらせって……中には上皇様の姪御様まで、いらっしゃったんでしょう?」

「それは、名ばかりよ。上皇様の弟宮様は、すでにお隠れになっておいでで、姪御様のその後を哀れんだ上皇様が、無理やり帝に押し付けになったのよ。」
《《%size:10px|※お隠れ……亡くなる事》》

「まあ……」

そこに帝のお気持ちがないと分かった依楼葉は、どこかでほっとした。

だがそんな自分も、嫌になる。