「はい、父上。」

やっと桃花から解放されると思うと、依楼葉はほっとする。

「もう……具合はよろしいのですか?」

「ああ。そう、だな……」

依楼葉は、横を向く。

「先ほどは、まだ病床の身故と……」

するとまた、父と母が、依楼葉と桃花の間に、分け入る。


「あまり、間を置くとだな。変な噂も立つのだ。」

「そうなのです。こういう時には、一旦顔を出すのが、大切なのですよ。」

慌てふためく二人に、桃花はへえ~と、納得の様子。

「では、背の君様。お気をつけて、いってらしゃいませ。」

「ああ、有難う。も、桃花。」

そして桃花は、自分の住む西の対に、戻って行った。


桃花の姿が見えなくなると、一気に息を吐く三人。

「なんとか、乗り越えましたね。」

「ああ。」

ほんの一時なのに、やけに疲れた依楼葉。


いくら、桃花を守る為であっても、これから本当に、桃花と一緒にやっていけるのか。

不安な依楼葉であった。