「あっ、いや、違うのです。」
立ち上がろうとした太政大臣を、帝は止めた。
「しばらく、放って置いて下さい。そうすれば、落ち着くと思います。」
その悩ましい表情に、橘文弘も検討がついた。
「恋煩いですか。」
橘文弘のため息に、恥ずかしさを覚える帝。
「何をそんなに、悩まれます?帝はこの世に一人の方。思い切って入内させればいいではないですか。」
「そうなのですが……」
そう言う橘文弘にも、そうできない理由が分かる。
帝は、桜子に遠慮しているのだ。
子供ができた後に、他の女御を迎えるならまだしも、今の時点で女御を迎えては、桜子の嫉妬で、何をされるか分からない。
余計な波風は、立てたくないのが男だ。
「困りましたね。」
そう言いながら、扇の下では、微笑んでいる橘文弘。
「いっそ、側に仕えさせては?」
何気なく言ったその言葉に、帝が飛びついた。
立ち上がろうとした太政大臣を、帝は止めた。
「しばらく、放って置いて下さい。そうすれば、落ち着くと思います。」
その悩ましい表情に、橘文弘も検討がついた。
「恋煩いですか。」
橘文弘のため息に、恥ずかしさを覚える帝。
「何をそんなに、悩まれます?帝はこの世に一人の方。思い切って入内させればいいではないですか。」
「そうなのですが……」
そう言う橘文弘にも、そうできない理由が分かる。
帝は、桜子に遠慮しているのだ。
子供ができた後に、他の女御を迎えるならまだしも、今の時点で女御を迎えては、桜子の嫉妬で、何をされるか分からない。
余計な波風は、立てたくないのが男だ。
「困りましたね。」
そう言いながら、扇の下では、微笑んでいる橘文弘。
「いっそ、側に仕えさせては?」
何気なく言ったその言葉に、帝が飛びついた。