「ところで、お上。今日のお渡りは、如何されたのですか?」

「ああ、そうだ。庭にね、美しい花が咲いているのだ。一緒に愛でようと思ってね。」

「まあ、嬉しい。」

すると二人は、一緒に立ち上がった。


「そうだわ。綾子と和歌も行きましょう。」

桜子に誘われ、綾子は直ぐに立ち上がろうとしたが、依楼葉は座ったままだ。

「和歌の姫君?」

綾子に呼ばれ、ようやく立ち上がる依楼葉。

ちらっと帝を見ても、桜子の方ばかりを見て、こちらは見てはくれない。

まるで、依楼葉の事など、知らぬ存ぜぬと言った様子だ。


俯きながら、依楼葉は他の三人と共に、庭に降りた。

依楼葉と綾子は、二人の少し離れた後ろを、ついて行く。

「和歌の姫君。お二人の事、どう見えます?」

綾子は、嬉しそうに依楼葉に聞いた。

「……とても、仲が良さそうに見えます。」

「でしょう?どこから見ても、お似合いの二人だわ。」