「和歌の姫君。」
その瞬間、帝の目が大きく見開いた。
「和歌の……姫君……?」
依楼葉は、桜子が帝の方を向くのを、見てしまった。
「お初にお目にかかります。関白左大臣・藤原照明の娘・依楼葉と申します。」
依楼葉の挨拶に、桜子は再び前を向く。
「ああ……関白左大臣の娘か……確か、漢詩が読める才女であると、噂は耳にしている。藤壺は良い者を、女房に迎えた。」
帝のこの言葉に、桜子は喜んだ。
「そうなのです。漢字が読めると言うのは、珍しいですよね。」
「あ、ああ……そうだな。」
依楼葉には分かる。
帝が、藤壺の女御に、話を合わせている事を。
「でも和歌は、漢字を読むと女らしさが無くなると言うのですよ?自分は読めると言うのに。本当に面白い姫ですこと。」
「……そうだね。」
帝と桜子の会話を聞いていると、仲睦まじい夫婦のように思える。
そこには、自分が立ち入る隙間など、ないのではないかと。
その瞬間、帝の目が大きく見開いた。
「和歌の……姫君……?」
依楼葉は、桜子が帝の方を向くのを、見てしまった。
「お初にお目にかかります。関白左大臣・藤原照明の娘・依楼葉と申します。」
依楼葉の挨拶に、桜子は再び前を向く。
「ああ……関白左大臣の娘か……確か、漢詩が読める才女であると、噂は耳にしている。藤壺は良い者を、女房に迎えた。」
帝のこの言葉に、桜子は喜んだ。
「そうなのです。漢字が読めると言うのは、珍しいですよね。」
「あ、ああ……そうだな。」
依楼葉には分かる。
帝が、藤壺の女御に、話を合わせている事を。
「でも和歌は、漢字を読むと女らしさが無くなると言うのですよ?自分は読めると言うのに。本当に面白い姫ですこと。」
「……そうだね。」
帝と桜子の会話を聞いていると、仲睦まじい夫婦のように思える。
そこには、自分が立ち入る隙間など、ないのではないかと。