女房と言うのは、使用人達の事だ。

だからその務めは、女主人、ここで言う桜子の身の回りの世話をする。


着替えの準備から、食事の配膳。

その他の雑用などもした。

仲には乳母をしたり、家庭教師をしたりする者もいた。


「和歌の君。藤壺の女御様が、お呼びです。」

女房の一人が、依楼葉を呼びに来た。

「はい。」

依楼葉が目の前に来ると、藤壺の女御・桜子はウキウキと楽し気にしていた。

「和歌。そなた、私に漢詩を教えてはくれぬか?」

「私がでございますか?」

「そなたは、漢詩も得意なのであろう?私も簡単な漢詩は、分かるようになりたいのじゃ。」

すると依楼葉は、難しい顔をした。

「どうした?和歌の君。」

「正直申し上げますと、女御様が漢詩を学ばれるのは、あまりお勧めいたしません。」

すると周りの女房達は、ざわつき始めた。

「和歌の君。女御様にお言葉を返すとは、失礼であろう!」