「どうして女房達と言うのは、噂話が好きなのかしら。」

依楼葉は、早速ため息をついた。

「あら。和歌の姫君は、宮中で噂されたりしたの?」

依楼葉は、綾子と顔を合わせると、目をパチクリさせた。

「ああ……兄の咲哉がまだ生きていた頃……よく似ていると噂されているとお聞きしまして……」

「ああ!そうそう!」

綾子は何かを思い出したかのように、両手を打った。

「ほら、双子ってとても珍しいでしょ。不吉な存在だと言われて、一緒に育てられないから。」

依楼葉は、唖然とした。

「あっ、ごめんなさい。変な事を言ったわね。」

「いいえ。」

依楼葉は、綾子のその飾らない性格が、逆に気に入ってしまった。


「私にお勤めを教えてくれるのが、綾子さんでよかったわ。宮中のこと、いろいろ教えて下さいね。」

「ええ。私も、和歌の姫君と一緒にお勤めできて、本当に嬉しいわ。」

綾子は、いつかと同じように、依楼葉の手を握った。