「……はい。」

依楼葉は、隼也の思いやりと強さを、今初めて知ったような気がした。

「母は違えども、姉を救う為に努力した結果よ。それを周りにとやかく言われる筋合いはない。」

「いえ。私には兄妹がいなかったので……姉様がいてくれる事が、とても嬉しかったのです。」

「隼也……」

依楼葉は、兄弟思いの隼也が愛おしくなって、横から隼也を抱きしめた。


「そんな隼也を、依楼葉に宮中から、支えてほしいのだ。」

依楼葉と隼矢は、父の顔を見た。

「私に?」

「姉様に?」

そして今度は、お互いの顔を見合わせる。


「そうだ。頼めるな、依楼葉。」

依楼葉は、ハァーッと大きく深呼吸をすると、隼也から手を放し、父・照明に両手をついた。

「承知しました。」

「うん。分かってくれて有難う。そなたなら隼也の力になれる。」

「はい。」

そして二人の子供が部屋を去った後、東の方は照明に、一つ尋ねた。