「えっ！」

驚く様子を見ると、やはり出仕に関しては、前向きではないらしい。

「この前の、花見の祝宴の事。覚えているか？」

「はい。」

依楼葉はほのかに、帝との、いや桜の君と過ごした一時の夢を思い出した。


「その時に、絵巻の話をした依楼葉を、藤壺の女御様がお気に召したらしい。」

「では、今回の事は……」

「ああ。藤壺の女御様、直々に依楼葉を壺に迎えたいと、仰せになったみたいだ。」

照明と東の方は、依楼葉を見つめた。


俯いて、物事を深く考えている様子。

無理もない。

もう、答えは一つなのだから。


「……出仕、しなければならぬのですね。」

「ああ。」

さすがは賢い子。

言う前に、感じ取ってくれたようだ。

「だがな、依楼葉。これは隼也の為でもあるのだ。」

隼也と依楼葉は、顔を合わせた。


「父上様。それは、どう言う意味なのでしょうか。」

自分の為に、姉が出仕しなければならない。