父は決心したかのように、立ち上がった。
「依楼葉よ。父も、腹をくくったぞ。」
「父上様……」
父は、依楼葉の肩をグッと、掴んだ。
「依楼葉。左大臣家の為に、咲哉になってくれ。中納言に必要な知識は、父が授ける。いいな。」
「はい!」
勢いよく返事をした依楼葉は、横たわっている咲哉を眺めた。
初瀬川 ふる川の辺へに 二もとある杉
年を経て またも相見む 二もとある杉
(初瀬川と布留川の合流するあたりの川辺に、昔から二本立っている杉。私たちも、年を経てのち、再び逢おう、二本立っている杉のように。)
「咲哉、見ててくれ。我は必ず、お主になってみせる。我も死してお主に再び会う時には、よくやったと誉めて貰うようにな。」
依楼葉は、冷たくなった咲哉の手に、自分の手を重ね合わせた。
「依楼葉よ。父も、腹をくくったぞ。」
「父上様……」
父は、依楼葉の肩をグッと、掴んだ。
「依楼葉。左大臣家の為に、咲哉になってくれ。中納言に必要な知識は、父が授ける。いいな。」
「はい!」
勢いよく返事をした依楼葉は、横たわっている咲哉を眺めた。
初瀬川 ふる川の辺へに 二もとある杉
年を経て またも相見む 二もとある杉
(初瀬川と布留川の合流するあたりの川辺に、昔から二本立っている杉。私たちも、年を経てのち、再び逢おう、二本立っている杉のように。)
「咲哉、見ててくれ。我は必ず、お主になってみせる。我も死してお主に再び会う時には、よくやったと誉めて貰うようにな。」
依楼葉は、冷たくなった咲哉の手に、自分の手を重ね合わせた。