「和歌の姫君!?」
それはこの前、桜子の女房になる事を拒んだ、依楼葉の事だった。
「ほう……左大臣家の姫君だったか……」
太政大臣・橘文弘は、扇を左右に振り始めた。
「お父上様。私、改めて和歌の姫君を、女房に頂きたく存じます。」
桜子は、父にはっきりと言った。
「私もそうだ、桜子。今の話を聞いて、益々欲しくなった。」
橘文弘も、すっかり乗り気だ。
「だが、一度断られているからなぁ。」
突然橘文弘は、扇をバタッと閉じた。
「今回の虞美人草の事を、関白左大臣様にお伝えしてみては?」
「そうだな。あまり我が侭を言わない桜子が、望んだ女房だからね。」
「はい。お願い致します。」
桜子は満面の笑顔で、父に答えた。
そんな事になっているとは知らない依楼葉は、花見の祝宴に大忙しだった。
祝宴に参加しないと言った途端に、お膳運びに駆り出されたものだから、息をつく暇もない。
それはこの前、桜子の女房になる事を拒んだ、依楼葉の事だった。
「ほう……左大臣家の姫君だったか……」
太政大臣・橘文弘は、扇を左右に振り始めた。
「お父上様。私、改めて和歌の姫君を、女房に頂きたく存じます。」
桜子は、父にはっきりと言った。
「私もそうだ、桜子。今の話を聞いて、益々欲しくなった。」
橘文弘も、すっかり乗り気だ。
「だが、一度断られているからなぁ。」
突然橘文弘は、扇をバタッと閉じた。
「今回の虞美人草の事を、関白左大臣様にお伝えしてみては?」
「そうだな。あまり我が侭を言わない桜子が、望んだ女房だからね。」
「はい。お願い致します。」
桜子は満面の笑顔で、父に答えた。
そんな事になっているとは知らない依楼葉は、花見の祝宴に大忙しだった。
祝宴に参加しないと言った途端に、お膳運びに駆り出されたものだから、息をつく暇もない。