「もしよろしければ、藤壺の女御様のお力になってあげて。」
綾子は依楼葉の手を、ぎゅっと握りしめた。
綾子の目は、じーっとこちらを見つめている。
手も、こちらが”うん”と言わないと、放してくれなさそうだ。
「分かりました。」
綾子は微笑むと、手を握ったまま、依楼葉を桜子の前に連れて行った。
「藤壺の女御様。和歌の姫君が、その漢字を読んでくれるそうですよ。」
「まあ!そなたが?」
周りも、女が漢字を読める事に、とても驚いている。
「そう言えば、双子の兄・春の中納言様も、漢詩がお得意でしたわね。」
「さすがは関白左大臣家のお子達。では、早速教えて頂けますか?」
困っていた女房の一人が、絵巻の一枚を、依楼葉に差し出した。
「ああ、これは四面楚歌の絵ですわ。」
「四面楚歌!?」
女房達はそれぞれに、顔を見合わせた。
「昔々、大陸の方に、楚と言う国と、漢と言う国がありました。二つの国は争い、遂に漢が楚の軍を取り囲んだのです。」
綾子は依楼葉の手を、ぎゅっと握りしめた。
綾子の目は、じーっとこちらを見つめている。
手も、こちらが”うん”と言わないと、放してくれなさそうだ。
「分かりました。」
綾子は微笑むと、手を握ったまま、依楼葉を桜子の前に連れて行った。
「藤壺の女御様。和歌の姫君が、その漢字を読んでくれるそうですよ。」
「まあ!そなたが?」
周りも、女が漢字を読める事に、とても驚いている。
「そう言えば、双子の兄・春の中納言様も、漢詩がお得意でしたわね。」
「さすがは関白左大臣家のお子達。では、早速教えて頂けますか?」
困っていた女房の一人が、絵巻の一枚を、依楼葉に差し出した。
「ああ、これは四面楚歌の絵ですわ。」
「四面楚歌!?」
女房達はそれぞれに、顔を見合わせた。
「昔々、大陸の方に、楚と言う国と、漢と言う国がありました。二つの国は争い、遂に漢が楚の軍を取り囲んだのです。」