「藤壺の女御様以外、皆さま、宿下がりされましたからね。」
「ああ……」
五条帝には、藤壺の女御・桜子以外に3人の女御がいた。
先帝の弟君の娘や、依楼葉の父・左大臣・藤原照明の末の妹・右大臣家からも末の妹と言う、錚々たる姫君達が名を連ねたが、皆、病に倒れて実家に帰ってしまった。
いつしか、桜子が呪いをかけていると言う噂まで立ったが、本当かどうかは、分からない。
そんな状態で、新しい女御など、迎えられるはずもなかった。
「そうですね。左大臣家の姫君でしたら、大切に育てられたでしょうから。」
相手の事を考えると、手離しに喜べない二人だった。
「そう言えば、冬の君。日中、どこへ行っていた?」
「それが、父に呼ばれていまして。」
「太政大臣殿か。」
桜子の父である太政大臣・橘文弘は、五条帝にとっても、義理の父だ。
「それが、先程の話の続きになるようで、嫌なのですが。藤壺の女房が、また一人宿下がりを申しておりまして……」
「ああ……」
五条帝には、藤壺の女御・桜子以外に3人の女御がいた。
先帝の弟君の娘や、依楼葉の父・左大臣・藤原照明の末の妹・右大臣家からも末の妹と言う、錚々たる姫君達が名を連ねたが、皆、病に倒れて実家に帰ってしまった。
いつしか、桜子が呪いをかけていると言う噂まで立ったが、本当かどうかは、分からない。
そんな状態で、新しい女御など、迎えられるはずもなかった。
「そうですね。左大臣家の姫君でしたら、大切に育てられたでしょうから。」
相手の事を考えると、手離しに喜べない二人だった。
「そう言えば、冬の君。日中、どこへ行っていた?」
「それが、父に呼ばれていまして。」
「太政大臣殿か。」
桜子の父である太政大臣・橘文弘は、五条帝にとっても、義理の父だ。
「それが、先程の話の続きになるようで、嫌なのですが。藤壺の女房が、また一人宿下がりを申しておりまして……」