「それに、私が他の家から妻を迎えれば、桃花殿は益々孤立致します。私が妻に迎えれば、右大臣家との繋がりは無くなりませんし、姉様も、心配なさらずに済みましょう。」

そこまで考えているのであれば、隼也に任せてもいいなと、依楼葉は思った。


「隼也。一つだけ尋ねてもよいか。」

「何でしょう、姉様。」

「そなたは、桃花をどう思っている。」

依楼葉は、真剣に尋ねた。

「そなた達は、私と桃花殿の関係を、上辺だけの夫婦関係だと言うたが、私はこれでも、桃花殿に誠意を持って、接してきたつもりだ。」

依楼葉は、例え情を交わす事はしなくても、時間があれば桃花の部屋で、夜を過ごしていた。

酒を一緒に飲み、話を聞き、夢を語り合った。

上辺だけと言われれば、そうかもしれない。

だが、決して偽りの関係ではなかったと、依楼葉は思うのだ。


「ええ。桃花様からも、同じ事を言われました。でも、これだけは信じて下さい。」