三度目と言う事もあって、声も出ない。

「……知っていたのか?」

やっと声を出したのは、意外にも依楼葉だった。

「はい。知ったのは、つい最近ですが……」

堂々とした振る舞い。

勤めでこんなにも、人は変われるものなのかと、依楼葉は思った。


「では桃花も、知っているのだね。」

「はい。」

依楼葉は、小さくため息をついた。

ここが、去り際なのかもしれない。

この二人が知っていると言う事は、他にも知っている人が、いる可能性があるからだ。


「依楼葉様。父上様も母上様も、隼也様を責めないで下さい。隼也様は、私を気遣ってくれたのです。相手が姫であれば、上辺だけの夫婦生活になるのではと。子供もできず、寂しい思いをするのではないかと。」

桃花は必死に、隼也を庇っている。

その時点で、桃花の心は、隼也に向いているのだと、依楼葉は知った。