そして、いよいよ隼也の出仕の時が来た。

「隼也、お父上の言う事を、よく聞くのですよ。」

「はい、母上様。」

真新しい衣装を着た隼也は、すっかり若い公達に見える。


依楼葉は、その初々しさに、つい見とれてしまった。

やはり、父が母に内緒で通っていただけの事があって、隼也の母は綺麗な人だったのだろう。

咲哉のように、女みたいに美しいとまではいかなくても、美少年である事は、確かだ。


「ほほほっ!これは咲哉同様、宮中で噂になるな。」

すると、依楼葉の背中はなぜか、ゾクッと寒気がした。

「どうしました?兄上様。」

「ん?」

依楼葉は、頬をポリポリと掻くと、隼也を呼び寄せた。


「よいか。宮中の女房達に騒がれても、決して一々反応してはいけないよ。」

「どうしてですか?」

「キリがないからね。目の前を通る度に、甲高い声を出される。」

だが隼也は反って、ニヤッとした。