明くる日から、隼也の特訓が始まった。

陽が高くなるまでは、和歌や漢詩、それを過ぎると、弓矢の稽古や、笛の稽古。

それぞれに先生が付き、みっちりと教え込まれた。


依楼葉が勤めから帰って来ると、疲れて寝ている隼矢が目についた。

日中教えられた事を、もう一度思い出しているのか、机に向かったまま寝ている。


依楼葉は自分の上衣を脱ぐと、隼也の肩に掛けてやった。

案の定、漢詩の勉強をしていたようだ。

依楼葉は、漢詩を勉強していた頃を思い出し、微笑んだ。

スース―と、寝息を立てている隼矢をそのままにして、依楼葉はそっと立ち去ろうとした。


「ん……」

目が覚めたのか、隼也は目を擦り始めた。

「ああ、起こしてしまったか。」

「えっ?」

隼矢は寝ぼけたまま、振り返った。

「ああ、兄様!」

依楼葉は、目をパチクリさせた。


「す、すみません。兄上様……」

おそらく気を許したのだろう。