「雲雀笛!?」

依楼葉は、その笛の名前に驚いた。

「雲雀笛と言えば、父上様はどこぞに落としてしまったと……」

父を見ると、あちらの方向を向いている。


「父上様?嘘をつかれたのですね。」

「あっ、いや……」

「この事、母上様は知っておられるのですか!?」

依楼葉は、床を叩いた。

「話しては……おらぬ……」

「はあ!?」

「話せる訳がなかろう!まさか、子供がいたとは……」

どうやら、父も寝耳に水だったらしい。


「どうしたものかのう。のう、咲……」

振り向いた父の目に、能面顔の母の姿が映った。

「うわっ!」

あまりの恐ろしさに、父は後ろへ倒れ込む。


「い、いつからそこに!」

父は幽霊でも見たかのように、震えあがった。

「笛が出てきた辺りからです。」

近づく母に、父は依楼葉の後ろへと隠れ出した。


母は何も言わずに、依楼葉の隣に座り、隼也をじーっと見つめた。