「私はあの日以来、なぜそなたが中納言に甘んじているのか、考えていた。」

「それは………」

なぜ女なのに、男の振りをしているのか。

と、言う事なのだろうか。


「だが、考えないようにする。」

依楼葉は、キョトンとする。

「どんな位であっても、そなたはそなただ。今、分かった。」

「お上……」

依楼葉と帝は、顔を合わせた。

目と目が合い、依楼葉の心臓は、激しくなった。


「そうか。中納言か……」

帝は、庭を見ながら、呟いた。

「はい……それがどうかされましたか?」

「いや、蔵人なら……いつでも側に置けたものを……」


いつでも側に……

依楼葉は、もう座ってもいられなくて、少しだけ前かがみになった。

「ははは……少し欲を出し過ぎたか?」

帝も少しだけ、照れているようだった。

依楼葉は、思い切って自分の想いを、口にしてみた。


「中納言でも、お側にお仕えしているのは、変わりません。」