「絢乃タンも? そっかぁ……。ねえねえ、今日も彼氏タンとデートなの? 絢乃タンもすっごくオシャレだけど」
「うん、まぁ。デートっていうか……、もうすぐ彼のお誕生日だからね、恵比寿のテーラーまでスーツを注文しに行くの」
「へえ、スーツかぁ。やっぱし、オトナの男の人とお付き合いしてると違うもんだね。だって絢乃タン、わたしよりすっごく落ち着いてるもん」
わたしの答えが意外だったからなのか、唯ちゃんは大きな目をまん丸くしつつ、まるで大人の女性を見るようにわたしを見つめていた。
彼女の恋人も、里歩の恋人もまだ学生さんなので、わたしたち三人の中で大人の男性と交際しているのはわたしだけだった。そのため、二人からは度々羨望の目で見られていたのだ。
「それに、わたしのお誕生日にあんなにステキなプレゼントもらってたからね。わたしもちゃんとお返ししたいなと思って」
「プレゼントって、こないだ見せてもらったそのネックレスだよね? 今日も着けてるね」
「うん。わたしの一番のお気に入りなのよ。もう絶対に外さないって決めてるんだから!」
彼からもらったネックレスは、あれからずっと肌身離さず着けている。――今日の結婚式では、泣く泣く着けるのを断念したけれど、お色直しをした時に着けるのはOKだとプランナーさんから言われている。
それはさておき、学校へ行く日にももちろん身に着けていた。校則で禁止されていたわけではなかったし、制服の淡いピンク色のブラウスのボタンを一番上まで留めてしまえば中は見えなかったのだ。
ちなみに、ネックレスと一緒に贈られたテディベアの〝ミッくん〟はベッドの枕元にいて、就寝時のお供となっていた。
「――絢乃さん、お待たせしました! 行きましょうか。……あ、そちらの方はお友達ですか?」
そこへ彼が戻ってきて、この日が初対面だった唯ちゃんに気がついた。
「うん、阿佐間唯ちゃんよ。今年初めて同じクラスになったの。唯ちゃん、この人が桐島貢さん。わたしの恋人で、会社では秘書をしてくれてるの」
「そうですか。初めまして、阿佐間さん。先ほど絢乃さんからご紹介に預かりました、桐島といいます」
里歩に初めて挨拶した時と同じく、彼の唯ちゃんへの挨拶もまた堅苦しかった。「貢、カタいカタい!」と、わたしも思わずツッコミを入れたほど。
ボスの友人とはいえ相手は自分より八歳も年下なのだから、そんなに畏まる必要なんてないのだ。ちなみに、里歩や唯ちゃんに対する態度は今もまったく変わっていない。
「あっ、こちらこそ初めまして! わたしは絢乃タンのお友達の、阿佐間唯でありますっ!」
挨拶を返した唯ちゃんの話し方も、〝電波系〟というのかこれまたユニークだったので、彼が唖然としていたのを今でも覚えている。
「彼女ね、マンガとかアニメが大好きで、学校の部活もそっち系の部に入ってるの。だから、話し方とかもちょっと個性的で……。貢、ビックリしたよね?」
「うん、まぁ。デートっていうか……、もうすぐ彼のお誕生日だからね、恵比寿のテーラーまでスーツを注文しに行くの」
「へえ、スーツかぁ。やっぱし、オトナの男の人とお付き合いしてると違うもんだね。だって絢乃タン、わたしよりすっごく落ち着いてるもん」
わたしの答えが意外だったからなのか、唯ちゃんは大きな目をまん丸くしつつ、まるで大人の女性を見るようにわたしを見つめていた。
彼女の恋人も、里歩の恋人もまだ学生さんなので、わたしたち三人の中で大人の男性と交際しているのはわたしだけだった。そのため、二人からは度々羨望の目で見られていたのだ。
「それに、わたしのお誕生日にあんなにステキなプレゼントもらってたからね。わたしもちゃんとお返ししたいなと思って」
「プレゼントって、こないだ見せてもらったそのネックレスだよね? 今日も着けてるね」
「うん。わたしの一番のお気に入りなのよ。もう絶対に外さないって決めてるんだから!」
彼からもらったネックレスは、あれからずっと肌身離さず着けている。――今日の結婚式では、泣く泣く着けるのを断念したけれど、お色直しをした時に着けるのはOKだとプランナーさんから言われている。
それはさておき、学校へ行く日にももちろん身に着けていた。校則で禁止されていたわけではなかったし、制服の淡いピンク色のブラウスのボタンを一番上まで留めてしまえば中は見えなかったのだ。
ちなみに、ネックレスと一緒に贈られたテディベアの〝ミッくん〟はベッドの枕元にいて、就寝時のお供となっていた。
「――絢乃さん、お待たせしました! 行きましょうか。……あ、そちらの方はお友達ですか?」
そこへ彼が戻ってきて、この日が初対面だった唯ちゃんに気がついた。
「うん、阿佐間唯ちゃんよ。今年初めて同じクラスになったの。唯ちゃん、この人が桐島貢さん。わたしの恋人で、会社では秘書をしてくれてるの」
「そうですか。初めまして、阿佐間さん。先ほど絢乃さんからご紹介に預かりました、桐島といいます」
里歩に初めて挨拶した時と同じく、彼の唯ちゃんへの挨拶もまた堅苦しかった。「貢、カタいカタい!」と、わたしも思わずツッコミを入れたほど。
ボスの友人とはいえ相手は自分より八歳も年下なのだから、そんなに畏まる必要なんてないのだ。ちなみに、里歩や唯ちゃんに対する態度は今もまったく変わっていない。
「あっ、こちらこそ初めまして! わたしは絢乃タンのお友達の、阿佐間唯でありますっ!」
挨拶を返した唯ちゃんの話し方も、〝電波系〟というのかこれまたユニークだったので、彼が唖然としていたのを今でも覚えている。
「彼女ね、マンガとかアニメが大好きで、学校の部活もそっち系の部に入ってるの。だから、話し方とかもちょっと個性的で……。貢、ビックリしたよね?」