川沿いを探してもサラの姿は見つからなかった。館へ引き返していたグレンは、こちらに走り寄ってくるエドニーを見てサラが見つかったのかと期待に目を輝かせた。
「サラは無事か?」
「分かりません。とにかく来てください」
「まだ見つかっていないのか?」
「まだ誰もサラの姿を確認していません。ただ……」
向かったのはグレンの部屋だった。部屋の前にはバルクロが腕を組んで立っていた。
グレンとその後ろで様子をうかがう使用人たちをじろりと睨むと、「さっさと鍵を開けてよ」と拗ねたような声で言う。
バルクロにとって鍵など問題ではないが、領主家の人々の眼前で勝手に鍵を開けれたりすれば、さすがのバルクロも邸からつまみ出されるだろう。
「サラがこの部屋にいると?」
晩餐会が始まる前から部屋には鍵が掛けてあった。もちろん今も鍵は掛かっている。鍵はグレンとエドニーが持っている。
鍵の掛かった部屋にどうやってサラが入ったというのか。
「開けてみれば分かるよ」
バルクロは苛立ったようにそう言うと、一歩引いてグレンに場所を譲る。
何か企んでいるのではないかと疑いつつも、グレンは鍵を開け部屋の中へ踏み込んだ。
そこにいたのはサラではなく、今日会ったばかりの黒髪の女性、エレインだった。
「何故ここに? どうやって入った?」
「その男に閉じ込められたんです」
エレインが指差したのはバルクロだ。
バルクロはこぼれんばかりに目を見開きエレインの顔を凝視している。
「お前……、な、何故ここに……」
バルクロは声を震わせながらそう言い、エレインはグレンの肩に手をかけその後ろに隠れるように身を寄せると、バルクロに向かってニヤっと笑って見せた。
「サラはどこだ?」
グレンに問われ、バルクロははっとしたように自分の手を見る。人には見えなくとも、そこには無数の糸が繋がっている。
先程までたどっていたはずのサラと繋がっていた糸は途中でプツリと切れ床に垂れ下がっていた。
その糸はエレインの足下で消えている。
エレインは茶目っ気たっぷりに二本の指をハサミのように動かして見せた。
もちろんバルクロにだけ見えるように。
「サラは無事か?」
「分かりません。とにかく来てください」
「まだ見つかっていないのか?」
「まだ誰もサラの姿を確認していません。ただ……」
向かったのはグレンの部屋だった。部屋の前にはバルクロが腕を組んで立っていた。
グレンとその後ろで様子をうかがう使用人たちをじろりと睨むと、「さっさと鍵を開けてよ」と拗ねたような声で言う。
バルクロにとって鍵など問題ではないが、領主家の人々の眼前で勝手に鍵を開けれたりすれば、さすがのバルクロも邸からつまみ出されるだろう。
「サラがこの部屋にいると?」
晩餐会が始まる前から部屋には鍵が掛けてあった。もちろん今も鍵は掛かっている。鍵はグレンとエドニーが持っている。
鍵の掛かった部屋にどうやってサラが入ったというのか。
「開けてみれば分かるよ」
バルクロは苛立ったようにそう言うと、一歩引いてグレンに場所を譲る。
何か企んでいるのではないかと疑いつつも、グレンは鍵を開け部屋の中へ踏み込んだ。
そこにいたのはサラではなく、今日会ったばかりの黒髪の女性、エレインだった。
「何故ここに? どうやって入った?」
「その男に閉じ込められたんです」
エレインが指差したのはバルクロだ。
バルクロはこぼれんばかりに目を見開きエレインの顔を凝視している。
「お前……、な、何故ここに……」
バルクロは声を震わせながらそう言い、エレインはグレンの肩に手をかけその後ろに隠れるように身を寄せると、バルクロに向かってニヤっと笑って見せた。
「サラはどこだ?」
グレンに問われ、バルクロははっとしたように自分の手を見る。人には見えなくとも、そこには無数の糸が繋がっている。
先程までたどっていたはずのサラと繋がっていた糸は途中でプツリと切れ床に垂れ下がっていた。
その糸はエレインの足下で消えている。
エレインは茶目っ気たっぷりに二本の指をハサミのように動かして見せた。
もちろんバルクロにだけ見えるように。