晩餐会には四人の兄姉たちがそれぞれに家族や従者を伴って訪れる。

ソマン川やジナ川の外には親族がそれぞれに管理する広大な領地が広がっている。

そこからもたらされる食糧や燃料などが領主家を始めとするこのバランの街の人達の生活を支えている。

それらのこの先半年間の流通量や価格は三日間の話し合いで決まる。それだけにグレンの肩の荷は重い。

連日深夜に及ぶ酒宴でホストをこなしながら、適正な流通量を確保するための交渉を進めていかなければならない。

この小さなバランの街には取り立てた産業がない。それでも美しい街並みに訪れる観光客は多い。

ふたつの川が交わるザダの門近くは物流の要ともなっている。

グレンが重い腰を上げて客を迎えに応接間へ向かうと、廊下の奥からはしゃいだ声が聞こえてきた。

「占いだって!」

「えー、なんで叔父様のお邸にそんなのがあるの?」

「面白そうじゃん! 入ってみようよ」

姪っ子たちの華やかなドレスが、そこだけおかしな花でも咲いているように賑やかしい。

グレンは近付いていって声をかけた。

「遠いところをようこそ、レディたち」

「グレンおじ様! 占い部屋ってなーに?」

「どうしてここにあるの?」

「わたしも占って!」

同時に喋りだす子どもたちにグレンは頭痛を覚えながら、占いは予約制だと伝える。

「どうやって予約するの?」

「エドニーに言えばいいんじゃない?」

「じゃあエドニーを探しに行かなきゃ」

「行きましょ!」

蝶が飛び立つ様に子どもたちはぱっと駆け出す。廊下の先で額縁を抱えたエドニーがぎょっとしたように立ち竦んでいる。

その額縁はおそらく、この占い部屋に届けられるはずの物だ。

エドニーがもみくちゃにされる前に助け舟を出すべきだろう。

グレンは足早に応接室へ向かい、その扉をノックした。