「サラがきたらこれを渡して欲しいと言われてましてね」
そう言ってボーンはその絵をくるくると巻くと紐を結んでグレンに手渡した。
「ああ、これでやっと肩の荷がおりる。なんせ気味が悪くて捨てるに捨てられずにいたんですよ」
「気味が悪い?」
「ええ、あの時は結構な謝礼を弾んでくれたんで喜んで受け取ったものの、こんなこと言って変に思われるでしょうが、この絵の箱は動くんです。見ていれば分かりますよ。とにかく私は約束は果たしました。サラって子にちゃんと渡してやってくださいよ」
ボーンの話はそこまでだった。
グレンとアシュリーは顔を見合わせながら店を出た。アシュリーはそのまま巡回に行くと言って別れた。
グレンは船で屋敷に戻ると、その絵を広げてしばらく眺めていた。
エドニーを呼んで額縁に入れるよう指示する。
「サラの様子はどうだ?」
「マチルダの話では貧血と疲れが溜まっていたのだろうということです。今は部屋で休んでいますよ」
「そうか。サラの仕事がきついようならもう少し人を増やしておけ」
「ええ、言われずともそう思っていたところですよ。皆、サラの天気占いが当たるからと喜んでいます。ですが、たかが天気占いと言っても毎日休み無しじゃ疲れるでしょうね」
それで貧血か、とグレンは苦い顔になった。サラの占いは血を使う。占いの度に血を流していては血が足りなくなるのも道理だ。
「天気占いなどなくても今まで洗濯はできていたじゃないか。あまり占いに頼りすぎるなと言っておけ」
「承知しました」
エドニーが部屋を出ていくと、グレンは既に夜の闇に包まれた窓の方を見やった。
結局箱は見つからなかった。そしてそばにいながらサラに無理をさせていることにも気づかなかった自分が腹立たしい。
そう言ってボーンはその絵をくるくると巻くと紐を結んでグレンに手渡した。
「ああ、これでやっと肩の荷がおりる。なんせ気味が悪くて捨てるに捨てられずにいたんですよ」
「気味が悪い?」
「ええ、あの時は結構な謝礼を弾んでくれたんで喜んで受け取ったものの、こんなこと言って変に思われるでしょうが、この絵の箱は動くんです。見ていれば分かりますよ。とにかく私は約束は果たしました。サラって子にちゃんと渡してやってくださいよ」
ボーンの話はそこまでだった。
グレンとアシュリーは顔を見合わせながら店を出た。アシュリーはそのまま巡回に行くと言って別れた。
グレンは船で屋敷に戻ると、その絵を広げてしばらく眺めていた。
エドニーを呼んで額縁に入れるよう指示する。
「サラの様子はどうだ?」
「マチルダの話では貧血と疲れが溜まっていたのだろうということです。今は部屋で休んでいますよ」
「そうか。サラの仕事がきついようならもう少し人を増やしておけ」
「ええ、言われずともそう思っていたところですよ。皆、サラの天気占いが当たるからと喜んでいます。ですが、たかが天気占いと言っても毎日休み無しじゃ疲れるでしょうね」
それで貧血か、とグレンは苦い顔になった。サラの占いは血を使う。占いの度に血を流していては血が足りなくなるのも道理だ。
「天気占いなどなくても今まで洗濯はできていたじゃないか。あまり占いに頼りすぎるなと言っておけ」
「承知しました」
エドニーが部屋を出ていくと、グレンは既に夜の闇に包まれた窓の方を見やった。
結局箱は見つからなかった。そしてそばにいながらサラに無理をさせていることにも気づかなかった自分が腹立たしい。