領主の向かう先に客たちは興味津々で、サラはその場から立ち去るべきかどうか迷った。
けれど、グレンのまっすぐな眼差しに縫い止められたように足が動かない。
どこからかエドニーが花束を持って現れ、それをグレンに手渡した。
グレンは花束を手にサラの前までやってくると、その場でひざまづいた。
白いシャツの胸元は今日はきっちりと留められ、シルバーのピンが首元を飾っている。いつもにも増して華やかな笑顔に目を奪われた。
サラは周りからの視線を一身に浴びていることも忘れてグレンに見とれていた。
「サラ、領主の花嫁は誰かを占ってくれるかな」
いつも見上げている長身の男を見下ろしながら、サラはつい意地悪を言いたくなった。誰よりもグレンの隣にいたいと思っているのは自分なのだ。もし占いで他の人が見えたとしても決して教えてなどあげない。
「一生独身かもしれないわよ?」
「それは困る。今から目の前の女性にプロポーズするところなんだ」
ソマン川の川面を撫でた風が吹き抜けて木の葉を揺らした。
その音に紛れるようにサラは答えた。
「それなら、きっと答えは『はい』よ」
吸血鬼に捧げる恋占い〈終〉
けれど、グレンのまっすぐな眼差しに縫い止められたように足が動かない。
どこからかエドニーが花束を持って現れ、それをグレンに手渡した。
グレンは花束を手にサラの前までやってくると、その場でひざまづいた。
白いシャツの胸元は今日はきっちりと留められ、シルバーのピンが首元を飾っている。いつもにも増して華やかな笑顔に目を奪われた。
サラは周りからの視線を一身に浴びていることも忘れてグレンに見とれていた。
「サラ、領主の花嫁は誰かを占ってくれるかな」
いつも見上げている長身の男を見下ろしながら、サラはつい意地悪を言いたくなった。誰よりもグレンの隣にいたいと思っているのは自分なのだ。もし占いで他の人が見えたとしても決して教えてなどあげない。
「一生独身かもしれないわよ?」
「それは困る。今から目の前の女性にプロポーズするところなんだ」
ソマン川の川面を撫でた風が吹き抜けて木の葉を揺らした。
その音に紛れるようにサラは答えた。
「それなら、きっと答えは『はい』よ」
吸血鬼に捧げる恋占い〈終〉