「駄目だ! 向こうの世界は今危険な状態だ。サラを行かせるわけにはいかない」
それまで部屋の隅で様子を見ていたバルクロが慌てたように駆け寄ってきた。
「そうだ。サラを行かせるわけにはいかない。それなら俺が行く」
グレンも首を横に振る。
「でも行かなきゃ誰かが傷付くことになるわ。グレンはこの町の領主なのよ。あなたが行くなんて駄目に決まってるわ」
サラは思いがけず大きな声を出してしまったことに自分でも驚いた。黒狼はサラに決断を迫るように唸り声を上げた。
グレンはサラを背に庇うように立ち黒狼を見据えた。その背中にローラの声がかけられた。
「あなたたちが行く必要はないわ。私に任せて。さぁ、この子たちをもうベッドに連れていってあげなさい」
ローラはリリアとアレンの肩を抱いてサラの方へ優しく押し出した。
有無を言わさぬ母の言葉に、サラは仕方なくリリアとアレンの手を引く。
「グレン、サラをお願いします」
それがまるで最後の言葉のようで、サラはどうしても足が動かなかった。
それまで部屋の隅で様子を見ていたバルクロが慌てたように駆け寄ってきた。
「そうだ。サラを行かせるわけにはいかない。それなら俺が行く」
グレンも首を横に振る。
「でも行かなきゃ誰かが傷付くことになるわ。グレンはこの町の領主なのよ。あなたが行くなんて駄目に決まってるわ」
サラは思いがけず大きな声を出してしまったことに自分でも驚いた。黒狼はサラに決断を迫るように唸り声を上げた。
グレンはサラを背に庇うように立ち黒狼を見据えた。その背中にローラの声がかけられた。
「あなたたちが行く必要はないわ。私に任せて。さぁ、この子たちをもうベッドに連れていってあげなさい」
ローラはリリアとアレンの肩を抱いてサラの方へ優しく押し出した。
有無を言わさぬ母の言葉に、サラは仕方なくリリアとアレンの手を引く。
「グレン、サラをお願いします」
それがまるで最後の言葉のようで、サラはどうしても足が動かなかった。