小さい頃、私は祖父母に聞いたことがある。
「お母さん達はいつ帰ってくるの?」と。
そしたら祖母は「分からんねえ」と言っていた。祖父は「あんまりワガママ言っちゃいけんよ」って、よく分からない笑い方をしていた。
いつ帰ってくるか聞くだけで、ワガママと言われた。
だから私はそれから1度も、「いつ帰ってくるの?」って聞かなくなった。
両親からの「今から帰るね」っていう連絡が来るまで、ずっと待っていた。
でも兄は「いつ帰ってくんの?」って何回も聞いていた。どうして何回も聞くのか分からなかった。
聞くのはワガママなのに·····と。
困らせてはいけないのに·····と。
世間でいうおふくろの味。
正直、母の料理を食べた記憶があまり無かった。
いつも作ってくれるのは祖母。食べる時も両親はいなく、たまに母や父が家にいれば、「どこか食べに行こうか」と外へ食べに行き。母が作る卵焼きがどんな味かさえ知らなくて。
私のおふくろの味は、祖母が作る甘い卵焼きだった。
そんな祖母が言う。「みっちゃんは我慢できて偉いね」って。
その頃から、私の‘我慢する性格’っていうのが出来上がっていたのかもしれない。
初めて背負うランドセル姿を、両親に見せたいと思った。でも、侑李の事で忙しい両親に見せることが出来ず。
私は我慢した。
「仕方ないだろ」って兄に言われた。
我慢してるのに「仕方ないだろ」って言われた。
私は「見せたい」とか「会いたい」なんて言ってないのに。
両親が県外へ仕事に行き始めたころ、病院通いが始まった。帰ろうとする私を引き止める侑李が大嫌いだった。
大嫌いで大嫌いで、溜まった感情を侑李にぶつけた。
その時の侑李はどれだけ辛かっただろう。
いつ悲鳴をあげるか分からない心臓を持ちながら、ずっとずっと病院の中にいて。
許可が出ない限り外に出れない侑李が安心する唯一の両親が、突然会えなくなってしまって。
侑李は一言も言わなかった。
泣いてはいた。
しらばくの間泣いてはいたけど。
「お母さんは?」って。「お父さんいつ来るの?」って。
侑李も我慢していたんだ。
私と一緒。
侑李も寂しくて仕方なかったんだ。
それに気づいてた。
でも、知らないふりをした。
だって両親を一人占めした侑李が、大嫌いだったから。
侑李よりも意思が弱い私は、侑李に八つ当たりした。本当は侑李は悪くないって分かってた。
悪くないって分かってたからこそ、謝ろうって思ったから。
けど、あの事件がおこった。
私が侑李を殺しかけた·····。
その日から、私のこころは、失ってしまったのだろう。
「密葉はここに残すべきだと思う」
そう言ったのは兄だった。
あの日から1週間が経ち、両親がこっちに戻ってきていた。
今は病院の待合で。侑李の病室にいないのは、侑李が今検査に行っているから。
私は人数分の飲み物を買って、両親と兄が待つ待合へ到着した所だった。
兄が私の話をしている。
私はピタリと足を止め、「ここに残すべき」だという兄の話を盗み聞きしていた。
「どうして?」
お母さんが口を開く。
「密葉は、侑李と距離を取ったほうがいいって思ったから」
侑李と距離?
「大和、どういうことなの」
「密葉が侑李とケンカでもしたのか?」
両親が不思議がって聞く。
こんな話を聞いては、3人の前に出ることが出来なかった。どうして兄が、私がついて行くことに反対するか分からなくて。
「密葉が限界だからだよ·····」
「何言ってるの?」
「どういうことだ大和」
「密葉が限界だって言ってんだよっ」
荒々しく口を開く兄に、少し体が揺れた。
「俺が行くから、密葉は残してほしい」
「その理由は何って言ってるのよ」
「限界って、どういうことだ」
兄が息を吐くのを、雰囲気で分かった。
「母さん達は知らないと思うけど、密葉はたまにおかしくなる」
··········おかしくなる·····。
「小さい頃マジでロボットみたいだったよ、あいつ。1回泣きそうになってた事あったけど、俺が「仕方ねぇ」って言ってから·····、それっきり俺らの前だけでは泣かねぇし笑うことも無くなった」
「大和·····」
「母さん達の前では笑ってたよ、でも、俺には分かった。ずっといたから·····、今まで見てた顔じゃねぇって。··········気づいて無かっただろ」
私は、咄嗟に口を抑えた。
「そっからだよ、密葉がおかしくなったのは。母さん達は家に帰んねぇし、しょうがねぇって分かってるけど、仕事で遠くに行って。」
「どうしてすぐに言わなかったの!」
「言えるわけねぇだろっ。侑李がこんな状態なのに!」
「そんなのっ、考えればっ·····」
「考えれば?考えれば何だよっ、母さん達にどうにかなったって言うのかよ!あん時はばーちゃん達に任せっきりだったじゃねぇか!!」
「それは·····」
「大和。続きを話なさい。密葉がそれでどうなった?」
父の落ち着いた声·····。
「それで·····、それで密葉は、母さん達に頼まれたから侑李に付きっきりだったよ。ずっと·····。小さい頃、密葉はまだ小学生だったのに、ずっと面会時間が終わるまでいた·····。俺、そん時結構頑張って夜ご飯とか作ってて·····、夜遅くなる密葉に八つ当たりしてた。もう少し早く帰れるだろって」
「··········」
「あん時の俺は馬鹿だった、密葉の気持ちも考えないで·····」
兄が「言い訳するなっ」って怒った時·····。でもそれは当たり前のことだと思った。だって兄とはひとつしか変わらない。当時、私は11歳。兄12歳。兄は小学6年生だった。
大人の考えが出来るわけない·····。
「密葉は侑李だけを思ってた。ずっと侑李を大事にしてたよ。侑李の前では笑ってた。けど、俺の知ってる密葉の顔じゃない·····」
「··········」
「何年かそれが続いた。正直、その頃は俺もバイト始めて金貯めるように必死になってたから、あんまし密葉の事をそれほど深く考えてなくて。そういう密葉が当たり前になってたから」
「··········」
「·····やべぇって思ったのは、去年」
「·····去年?」
「密葉のやつ、飯食わなくなった」
「え?」
「原因は侑李が飯を食わなくなったから。侑李が食わねぇのに、私だけ食べてどうするんだって。全然食わねぇ·····。風呂で溺れそうになるぐらい疲労してた」
「本当なの·····?」
「今はちゃんと食べてるけど、他にもある」
「·····他って?」
「母さんたち、手ぇ握りしめて、血でるか?」
「·····血?」
「全身震えて、ずっと手を握りしめていたから、皮膚に爪がくい込んで·····、爪が割れて。必死に自分を抑えようとしる密葉を、想像出来るかって言ってんだよ」
兄は、見ていてくれていたのだ。
ずっと私のことを。
侑李だけの世界を作っている私の事を。
「い、今は普通でしょう?この前会った時も普通だったじゃない·····」
4人で侑李の転院の話をした日。
「普通?あれが普通に見えたのかよ!あの日の夜だよっ、さっきの手の話は!」
兄が母に向かって怒鳴りつける。
ポロポロと、涙が零れてしまう·····。
必死におさえようと、手首辺りの服で目元を抑えた。
「分かっただろ、いったん侑李から密葉を離すべきなんだよ。あいつは侑李の事になると、すぐに自分を犠牲にする」
「··········大和·····」
「あと、もう1つ理由がある」
「もう1つ?」
「フジだよ、密葉の男。·····密葉はフジから離さない方がいい」
突然の和臣の名前に驚く。
「フジ?それは密葉の彼?この前家に来た·····」
「そうだよ。俺はなにも出来なかった·····。密葉が暴れても、おかしくなっても、どうすればいいか分からなくて。ずっとフジに任せっきりだった」
和臣、和臣は言ったよね。
俺のせいだって。
それは違う·····。
やっぱり違うんだよ。
私はこころの病気になっていた。
侑李の世界という、こころの病気に。
「さっき、密葉が食べなくなったって話したけど。密葉が食べるようになったのは、フジのおかげだ。あいつがいなかったら、今、どうなってたか分からない·····」
両親は黙ってて兄の話を聞いていた。
「さっきの手のひらの時も、俺が「やめろ」って言っても、全然やめなかった。フジが家に来て·····、フジの声を聞いた瞬間、密葉は手を緩めた。俺はその姿を見てそっから離れた。フジなら任せられるって思ったから·····」
私の覚えていない出来事·····。
「密葉が俺の知ってる顔で笑い始めたのも、泣き始めたのも、フジと関わってからだ。でもやっぱりどう見てもおかしい顔して笑う時もある」
和臣と関わってから·····。
「フジは·····、密葉にとって、大事な存在なんだよ。だから今は離しちゃダメだ·····。今離せば密葉は前みたいに戻る」
前みたいに·····。
「フジのおかげで、昔の密葉に戻ってきてるから」
あの日、和臣と出会ってから、私のこころの治療は始まっていたんだ。
私と侑李だけの世界に、他人の和臣が加わってくる。
和臣は私にとっての、こころの薬で。
和臣という薬を投与された私は、今は治療中みたいなものなのだ。
だから和臣のせいでこうなってるんじゃない。和臣のおかげで、私は前のように戻ろうとしているの。私と侑李の世界を無くならそうとしている。
でもやっぱり、そう簡単に和臣という薬を使い完治する訳ではなく。
反動でパニックを起こしてしまう。
それが「私だけが」を引き起こしてしまう。
それが、今までの原因。
侑李との2人だけの世界を作ってしまったのが、こころの病気だったんだ·····。
「お母さん達はいつ帰ってくるの?」と。
そしたら祖母は「分からんねえ」と言っていた。祖父は「あんまりワガママ言っちゃいけんよ」って、よく分からない笑い方をしていた。
いつ帰ってくるか聞くだけで、ワガママと言われた。
だから私はそれから1度も、「いつ帰ってくるの?」って聞かなくなった。
両親からの「今から帰るね」っていう連絡が来るまで、ずっと待っていた。
でも兄は「いつ帰ってくんの?」って何回も聞いていた。どうして何回も聞くのか分からなかった。
聞くのはワガママなのに·····と。
困らせてはいけないのに·····と。
世間でいうおふくろの味。
正直、母の料理を食べた記憶があまり無かった。
いつも作ってくれるのは祖母。食べる時も両親はいなく、たまに母や父が家にいれば、「どこか食べに行こうか」と外へ食べに行き。母が作る卵焼きがどんな味かさえ知らなくて。
私のおふくろの味は、祖母が作る甘い卵焼きだった。
そんな祖母が言う。「みっちゃんは我慢できて偉いね」って。
その頃から、私の‘我慢する性格’っていうのが出来上がっていたのかもしれない。
初めて背負うランドセル姿を、両親に見せたいと思った。でも、侑李の事で忙しい両親に見せることが出来ず。
私は我慢した。
「仕方ないだろ」って兄に言われた。
我慢してるのに「仕方ないだろ」って言われた。
私は「見せたい」とか「会いたい」なんて言ってないのに。
両親が県外へ仕事に行き始めたころ、病院通いが始まった。帰ろうとする私を引き止める侑李が大嫌いだった。
大嫌いで大嫌いで、溜まった感情を侑李にぶつけた。
その時の侑李はどれだけ辛かっただろう。
いつ悲鳴をあげるか分からない心臓を持ちながら、ずっとずっと病院の中にいて。
許可が出ない限り外に出れない侑李が安心する唯一の両親が、突然会えなくなってしまって。
侑李は一言も言わなかった。
泣いてはいた。
しらばくの間泣いてはいたけど。
「お母さんは?」って。「お父さんいつ来るの?」って。
侑李も我慢していたんだ。
私と一緒。
侑李も寂しくて仕方なかったんだ。
それに気づいてた。
でも、知らないふりをした。
だって両親を一人占めした侑李が、大嫌いだったから。
侑李よりも意思が弱い私は、侑李に八つ当たりした。本当は侑李は悪くないって分かってた。
悪くないって分かってたからこそ、謝ろうって思ったから。
けど、あの事件がおこった。
私が侑李を殺しかけた·····。
その日から、私のこころは、失ってしまったのだろう。
「密葉はここに残すべきだと思う」
そう言ったのは兄だった。
あの日から1週間が経ち、両親がこっちに戻ってきていた。
今は病院の待合で。侑李の病室にいないのは、侑李が今検査に行っているから。
私は人数分の飲み物を買って、両親と兄が待つ待合へ到着した所だった。
兄が私の話をしている。
私はピタリと足を止め、「ここに残すべき」だという兄の話を盗み聞きしていた。
「どうして?」
お母さんが口を開く。
「密葉は、侑李と距離を取ったほうがいいって思ったから」
侑李と距離?
「大和、どういうことなの」
「密葉が侑李とケンカでもしたのか?」
両親が不思議がって聞く。
こんな話を聞いては、3人の前に出ることが出来なかった。どうして兄が、私がついて行くことに反対するか分からなくて。
「密葉が限界だからだよ·····」
「何言ってるの?」
「どういうことだ大和」
「密葉が限界だって言ってんだよっ」
荒々しく口を開く兄に、少し体が揺れた。
「俺が行くから、密葉は残してほしい」
「その理由は何って言ってるのよ」
「限界って、どういうことだ」
兄が息を吐くのを、雰囲気で分かった。
「母さん達は知らないと思うけど、密葉はたまにおかしくなる」
··········おかしくなる·····。
「小さい頃マジでロボットみたいだったよ、あいつ。1回泣きそうになってた事あったけど、俺が「仕方ねぇ」って言ってから·····、それっきり俺らの前だけでは泣かねぇし笑うことも無くなった」
「大和·····」
「母さん達の前では笑ってたよ、でも、俺には分かった。ずっといたから·····、今まで見てた顔じゃねぇって。··········気づいて無かっただろ」
私は、咄嗟に口を抑えた。
「そっからだよ、密葉がおかしくなったのは。母さん達は家に帰んねぇし、しょうがねぇって分かってるけど、仕事で遠くに行って。」
「どうしてすぐに言わなかったの!」
「言えるわけねぇだろっ。侑李がこんな状態なのに!」
「そんなのっ、考えればっ·····」
「考えれば?考えれば何だよっ、母さん達にどうにかなったって言うのかよ!あん時はばーちゃん達に任せっきりだったじゃねぇか!!」
「それは·····」
「大和。続きを話なさい。密葉がそれでどうなった?」
父の落ち着いた声·····。
「それで·····、それで密葉は、母さん達に頼まれたから侑李に付きっきりだったよ。ずっと·····。小さい頃、密葉はまだ小学生だったのに、ずっと面会時間が終わるまでいた·····。俺、そん時結構頑張って夜ご飯とか作ってて·····、夜遅くなる密葉に八つ当たりしてた。もう少し早く帰れるだろって」
「··········」
「あん時の俺は馬鹿だった、密葉の気持ちも考えないで·····」
兄が「言い訳するなっ」って怒った時·····。でもそれは当たり前のことだと思った。だって兄とはひとつしか変わらない。当時、私は11歳。兄12歳。兄は小学6年生だった。
大人の考えが出来るわけない·····。
「密葉は侑李だけを思ってた。ずっと侑李を大事にしてたよ。侑李の前では笑ってた。けど、俺の知ってる密葉の顔じゃない·····」
「··········」
「何年かそれが続いた。正直、その頃は俺もバイト始めて金貯めるように必死になってたから、あんまし密葉の事をそれほど深く考えてなくて。そういう密葉が当たり前になってたから」
「··········」
「·····やべぇって思ったのは、去年」
「·····去年?」
「密葉のやつ、飯食わなくなった」
「え?」
「原因は侑李が飯を食わなくなったから。侑李が食わねぇのに、私だけ食べてどうするんだって。全然食わねぇ·····。風呂で溺れそうになるぐらい疲労してた」
「本当なの·····?」
「今はちゃんと食べてるけど、他にもある」
「·····他って?」
「母さんたち、手ぇ握りしめて、血でるか?」
「·····血?」
「全身震えて、ずっと手を握りしめていたから、皮膚に爪がくい込んで·····、爪が割れて。必死に自分を抑えようとしる密葉を、想像出来るかって言ってんだよ」
兄は、見ていてくれていたのだ。
ずっと私のことを。
侑李だけの世界を作っている私の事を。
「い、今は普通でしょう?この前会った時も普通だったじゃない·····」
4人で侑李の転院の話をした日。
「普通?あれが普通に見えたのかよ!あの日の夜だよっ、さっきの手の話は!」
兄が母に向かって怒鳴りつける。
ポロポロと、涙が零れてしまう·····。
必死におさえようと、手首辺りの服で目元を抑えた。
「分かっただろ、いったん侑李から密葉を離すべきなんだよ。あいつは侑李の事になると、すぐに自分を犠牲にする」
「··········大和·····」
「あと、もう1つ理由がある」
「もう1つ?」
「フジだよ、密葉の男。·····密葉はフジから離さない方がいい」
突然の和臣の名前に驚く。
「フジ?それは密葉の彼?この前家に来た·····」
「そうだよ。俺はなにも出来なかった·····。密葉が暴れても、おかしくなっても、どうすればいいか分からなくて。ずっとフジに任せっきりだった」
和臣、和臣は言ったよね。
俺のせいだって。
それは違う·····。
やっぱり違うんだよ。
私はこころの病気になっていた。
侑李の世界という、こころの病気に。
「さっき、密葉が食べなくなったって話したけど。密葉が食べるようになったのは、フジのおかげだ。あいつがいなかったら、今、どうなってたか分からない·····」
両親は黙ってて兄の話を聞いていた。
「さっきの手のひらの時も、俺が「やめろ」って言っても、全然やめなかった。フジが家に来て·····、フジの声を聞いた瞬間、密葉は手を緩めた。俺はその姿を見てそっから離れた。フジなら任せられるって思ったから·····」
私の覚えていない出来事·····。
「密葉が俺の知ってる顔で笑い始めたのも、泣き始めたのも、フジと関わってからだ。でもやっぱりどう見てもおかしい顔して笑う時もある」
和臣と関わってから·····。
「フジは·····、密葉にとって、大事な存在なんだよ。だから今は離しちゃダメだ·····。今離せば密葉は前みたいに戻る」
前みたいに·····。
「フジのおかげで、昔の密葉に戻ってきてるから」
あの日、和臣と出会ってから、私のこころの治療は始まっていたんだ。
私と侑李だけの世界に、他人の和臣が加わってくる。
和臣は私にとっての、こころの薬で。
和臣という薬を投与された私は、今は治療中みたいなものなのだ。
だから和臣のせいでこうなってるんじゃない。和臣のおかげで、私は前のように戻ろうとしているの。私と侑李の世界を無くならそうとしている。
でもやっぱり、そう簡単に和臣という薬を使い完治する訳ではなく。
反動でパニックを起こしてしまう。
それが「私だけが」を引き起こしてしまう。
それが、今までの原因。
侑李との2人だけの世界を作ってしまったのが、こころの病気だったんだ·····。