萌黄が微笑んだ表情は、可愛らしかった。

あどけない二人は、照れながらも、お互いを結婚相手として、意識し始めた。

直元が屋敷に帰って来ると、父・高政は直元の帰りを待っていた。

「父上。只今、戻りました。」

「おお、どうだった?萌黄殿は。」

直元は、嬉しそうに歯に噛んだ。

「はい。とても可愛らしい姫君でした。」

「それはよかった。では、結婚は進めていいのだな。」

「はい。」

高政は息子を見て、心配していた事をちょっと恥ずかしく思った。

息子だって、元服したのだ。

いつまでも、子供ではいまい。


こうして、直元と萌黄の婚儀は、進む事になり、あれよあれよと時間が過ぎた。

直元は、時間がある時には萌黄のところへ遊びに行き、二人はすっかり仲良くなった。

萌黄の父・今出川実重も、その様子を近くから見ては、頼もしげに見ていた。