「こちらにお座り下さい。」

明るくてはきはきした言葉。

まるで直元を気に入っているかのようだ。

「お父上は顔を見せるなと言ったけれど、せっかく来て下さったのに、顔も見ずに帰るだなんて、できないですよね。」

そしてにこっと笑った顔も可愛らしい。

「直元様は、貝遊びなどされた事は?」

「貝遊び……すみません。男所帯だったものですから、女の子の遊びはてんで分かりません。」

「そうでしたか。私もこの歳になってもまだ貝遊びなんて、幼いですよね。」

見たところ、良い姫ではないか。

「いいえ。我らはまだ、成人したばかり。女の子の遊びをしても、いいではないですか。」

すると萌黄は、嬉しそうに微笑んだ。

「直元様は、お優しい方ですね。」