そして直元が、その妻になるかもしれない女に会ったのは、三日後の事だった。

「よくぞ来て下さった、婿殿。」

女の父親は今出川高政と言って、位だけ高く没落した公家だった。

家を訪ねても、なんだかみすぼらしく見えた。

「娘は、この部屋におります。」

「はい。」

直元が部屋に入ると、御簾納の中に一人の女が座っていた。

直元の気配を感じて、振り返った女は、まだ幼い感じがした。

「初めまして。久世直元と申します。」

「ようこそお出で下さりました。私は、萌黄と申します。」

明るくて気さくな感じがした。

「あの御簾納中に入っても、よろしいですか?」

「えっ……あの……」

萌黄は戸惑っているようだった。

「何かございましたか?」

「結婚に至るまでは、顔を合わせないと父上に教えられました。」