直元には、七条頼敦という、一人の親友がいた。

頼敦にも妻がいて、名前は透子と言った。

頼敦は、何かにつけては、直元を家に呼んで、盃を交わしていた。

直元の結婚を聞いて、頼敦は早速、祝杯をあげた。

「直元、結婚おめでとう。」

「ありがとう。」

幼い頃から一緒に学んでいた直元と頼敦は、大人になっても、変わらなかった。

そして、妻の透子は、二人よりも歳が上のせいか、とても艶やかで品があった。

「しかし、透子殿はいつ見ても、お綺麗だ。」

「直元、透子に惚れても無駄だぞ。透子は俺に惚れているからな。」

そんな冗談を、透子本人の目の前でできるのだから、二人は気心知れた仲に、違いはなかった。

「そうだ。おまえの妻はどうだ？」

「萌黄か？うーん」

直元は、返答に困った。