「それがどうだ。高政殿の方から、我が娘を直元殿の嫁にと話があった。それを聞いた時は、飛び上がるほどに嬉しかった。」

そう言うと実重は、浴びるようにお酒を飲んだ。

飲みすぎて、そのまま横に倒れてしまう程だった。

「父上様ったら。こんなところで横になったら、風邪をひきますよ。」

萌黄は自分の上着を、父親に被せた。

実重が寝たことで、やっと二人きりになった直元と萌黄。

「……さあ、寝ようか。」

誘ったのは、直元の方からだった。

「はい。」

萌黄は返事をすると、立ち上がった。

ドキドキする直元の手を繋いだ萌黄は、自分の部屋に直元を通した。

いつも訪れている萌黄の部屋。

それが今は艶かしく見える。

「萌黄。末長く、仲良くしていこう。」

「はい。」

こうして二人は、夫婦生活を始めたのだった。