なおくんも卒業した近所の小学校に入学すると、なおくんは運動会や音楽会に足を運んでくれた。
保護者リレーでは、懇願されたお父さんに代わって、なおくんが出場し、ぶっちぎりの一位になっていたことも今では懐かしい。
「ちいちゃん、やったよ」
太陽に照らされて、はにかんだように笑って手を振るなおくんは、あまりにも眩しくて、それでいてきらきらと輝いていた。
そんななおくんを見ていると、なんだか胸の奥がむず痒くなって、顔にはぶわっと熱が集中してくる。
うまく反応できずにいたわたしはなおくんの笑顔を見ているのも照れくさくなって、いつものようになおくんに抱きついてしまおうと思って駆け寄った。
けれど、いざ近づいてみると突然触れるのが躊躇われて、伸ばした手をそのままに、わたしは固まってしまった。
「ちいちゃん……?」
「あ、なおくん、おめでとう」
「うん、ありがとう」
一瞬首を傾げた様子のなおくんは、すぐにその場にしゃがみこむと、いつもの笑顔でわたしの頭を撫でてくれた。
また胸がずきゅんと音を立てた。
それが恋だなんて、わたしはまだ知らなかったんだ。