華やかな雰囲気にも負けない、白のタキシードに身を包んだなおくんにどうしても見蕩れてしまう。
隣に並ぶ美羽さんもすごく綺麗で、お似合いだと感じてしまうことが寂しかった。
わたしを見つけて近寄ってきてくれたなおくんは、この場に似つかわしくない困った顔をしている。
「来てくれないかと思ってた」
「来ないわけないじゃん」
「だって僕のこと避けてたでしょ」
聡いなおくんはやっぱり気がついていたらしい。
ごめんね、と素直に謝ると、なおくんはほっと息を吐き出した。
ごめんね、あのとき素直に言えなくて。
逃げるように帰ってしまって。
あれから避けてしまって、ごめんなさい。
「おめでとう、なおくん」
「ありがとう、ちいちゃん」
たった一言、わたしからの精いっぱいの祝福。
届いたかな、伝わったかな。