あの人生最大のショックからおよそ一年が経った。

昔のことを思い出したら、また泣いていた。
枕が濡れて気持ち悪い。

気がつけば時計の針はぐるりと一周している。

今日はせっかくのハレの日なのに、わたしの心はどんより沈んだ雨模様だ。

今日、なおくんは美羽さんと結婚式を挙げる。

あの日からうじうじと悩み続けて、何か理由を強引に見つけてはなおくんと話さないようにしていた。

だって、美羽さんにも申し訳ないし、心の整理がつかなかったから。

「(でも今日は、なおくんに伝えたいことがあるんだ)」

予約してある美容院の時間までに泣き腫らした目をどうにかするため、もぞりとベッドから起き上がる。

休日だけど、午後にはなおくんと美羽さんの結婚式がある。
少しでもましな自分でなおくんの前に立ちたかった。